2013年4月 5日 (金)

JVC KENWOOD GY-HM600/HM650 テストレポート

前回の更新からまたかなり経ってしまいました・・・反省・・・

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JVC KENWOODのGY-HM650を新たに導入する事になり先日実機が届いた。このカメラの導入にあたり先立ってHM600のデモ機をお借りする事が出来た。その時にテストをいくつか行っていたのでそのレポート+650について書いてみたいと思う。

このGY-HM600/650に興味を抱いている方なら既にNext Zeroさん、ガイプロモーションさん、「地方プロダクションの影像制作」を書かれているフクダさん等のブログをチェックされていると思う。みなさんかなり細かい所までレポートされているので、自作アクセサリー等

を含め、ちょっと違う角度からレポートしてみたいと思う。

現在自分の所ではSONY PMW350がメインのカメラとして活躍している。サブカメラとしては今までCANONのXH-A1をたまに出動させていたが、このカメラのプロファイルをいくら弄ってもSONYのカメラに近づけることが出来なかった為、そろそろ他の機種をと思っていたところにGY-HM600/650の発売がいいタイミングで訪れた。

ちょうど去年のInterBEEの時にこのカメラを触る機会があり、まずはカメラの明るさに好感触を感じた。しかしマニュアルのズーム操作に関してはまだ試作機だった事もあり、思ったような動きにならなかったのが引っかかっていた。その後HM600が先行して市場に出る事となり、販売店さんに展示されていたHM600を触わる機会があり、実際に手にとってみたところ、InterBEEで感じていたマニュアルズーム操作時での、リングをまわしてから遅れてついて来る部分はかなり改善されていた事に驚いた。

その後デモ機をお借りした時点では、その時よりもさらにファームがUPされ、より改良された形になっている。
マニュアルズームでのリングと実際のズーム動作のタイムラグに関しては若干あるものの、この手のカメラとしては合格点だと思う。特筆する点としてはサーボズームによる操作は非常に素早く滑らかな点。ズームレバーを押し込み最広角から最望遠までの動作は約34Fで完了した。1.1秒といった所だ。この速さは放送用ENG用カメラレンズに匹敵するスピードだ。明らかに業務用クラスのレンズのズームスピードより速い。

またオートフォーカスに関してもほぼ問題なく使用できる範囲だと思う。というのも自分は

殆どフォーカスはマニュアルでの運用が殆どのためオートは何かあった時のワンプッシュ

という感じだからかもしれない。オートフォーカスを良く使う方でもAFアシスト機能を使って積極的にカメラマンの意思をカメラに伝えることが出来る。オートフォーカスが迷いやすい暗い絵やコントラストの低い被写体などはこの機能をうまく使い、迷いやすいカメラをアシストすると良いだろう。

光学特性も気になるところ。いくらズーム倍率が高くても周辺が流れてしまうなどの収差が多いレンズではシャープな映像は撮れない。前回「SDレンズはHDカメラに使用できるか」のときと同じ撮影テストを行ってみた。

Hm600Pmw350_1_5

撮影場所から330mほど離れた所にある高圧線の鉄塔。この画像を見ても分かるとおり

色収差はかなり少ない。(比較用のPMW350は付属の標準16倍レンズを使用)
HM600はフジノン製レンズとのアッセンブル精度はかなり高いようで、フランジバックはほとんど狂っていない。この手のカメラは意外とオートでピントを合わせることを主眼としているので、若干のフランジバックのズレはオートフォーカスで修正!という考えが大勢を占めているようだ。そうした中での本機の精度はかなりのものだと思う。

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自分のところの環境ではPMW350を中心にマルチカムを組む機会がたまにある。この時同じカメラを揃えて収録する事が一番の理想ではあるが、弊社のような弱小企業ではなかなかそうもいかないという現実・・・

実際にテストしてみたところSONYの色にとても近く、PMW系のカメラと混ぜた運用でもほとんど問題はないという結論に達した。

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PMW350と比較したところ赤は少し派手目、逆に黄色の純度が少し低いようだ。この部分をカラーマトリックス調整を行う事で簡単に他のカメラと色を合わせる事が出来る。

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HM600                             PMW350

このカメラのマトリックス調整はとても分かりやすく出来ている。_1030633

ベクトルスコープで言うところのマゼンタ、ブルー、シアン、グリーン、イエロー、レッドの各基準点に対しそれぞれ彩度、色相、明るさの三つのパラメーターを調整することが出来る。この調整機能は今までマトリックス
調整をした事がある方なら分かると思うが目から鱗!とても分かり易い。デジタルのなせる業と言った所だろう。

この機能をうまく使うことにより他社製カメラとの色ずれに悩むことはないだろう。ただ動かせる範囲がもう少し広いと尚いっそう良いかもしれない。

Hm600_2Pmw350_2_2
肌色というのは人間の色を見る感覚の中で一番敏感な部分でもある。

この床の色は肌色系なので違いが分かりやすい被写体でもある。

HM600とHM650の大きな違いは2つあり、650にはWiFi機能が付いている。USB 無線LAN アダプターを装着する事によりiPhoneやiPadなどのwebブラウザーでこのカメラをコントロールする事が出来る。メタデータの編集やクリップをFTP転送したり、カメラのRECのON,OFFやズームのリモートコントロールなどが可能となる。

Simg_2101_2



特にズームコントロールは実に便利! ズームは任意の地点3箇所を保存することができるので、前もって記憶させておけば離れた場所に置いてあるHM650の画角をWiFi対応のスマートフォンやiPadなどのデバイスで簡単に変えることが出来てしまう。この機能を使えば舞台撮影の無人引きカメラなどには最適ではないだろうか。 
WiFiデバイスにはカメラからの映像が表示される。しかし表示までは画像処理の関係からか約1秒ほど遅れて表示される。逆にWiFiデバイスからのコントロール信号にはカメラはすぐ反応を示す。テストで文化会館の小ホールの真ん中に近い所に本機をセットしiPhoneで何処まで離れた所までコントロールできるか試してみたが、舞台袖でも問題なくコントロールできた。意外と電波飛ぶんですね・・・

因みにUSBの無線LANアダプターはIOデータの1000円弱で購入できる安価なもの。今後のファームウエアアップによりより多くの機能が盛り込まれるらしい。

あと一つの大きな違いは記録フォーマットの種類が挙げられる。 600/650共通部分として、QuickTime(MPEG2)*.mov、MP4(MPEG2)、AVCHD。
MPEG2記録に関しては35Mbps CBR25Mbps(60i)VBR18.3Mbpsとなっている。AVCHDに関しては24Mbps、17Mbpsとなる。

またHM650はMXF(MPEG2)、QuickTime(H.264)が追加される。特にQTのH.264はUHQモード35Mbpsの記録となり他のMPEG2記録より高画質な記録が出来る。

総じてこのカメラは後発組みと言うところもあり、よく研究されたP1030656カメラだと思う。

しかし改良して貰いたい点もいくつかある。この手のハンドヘルドカメラを三脚に乗せずハンディで使用する場合、ローアングル撮影の時など上部のハンドグリップを保持し撮影する。この時自然とカメラが水平になることが望ましいのだが、このカメラのグリップ部は重心の上を通っておらず、写真のようぶら下げただけの状態で水平にはならない。もう少し右側にオフセット出来れば良かったのだが残念だ。

マイクや今後発売されるであろう高容量バッテリーなどを装着した場合もっと転んでしまう。

また消費電力が比較的高いようで、IDX製のバッテリーでは120分弱程度と、ちょっと心持たない。AC電源が取れない現場であればあと2、3本は用意しておいた方が良いかもしれない。IDX製の2連急速同時充電器を使えば2つ同時に約4時間でフル充電できる。

カメラ本体での充電も可能だが、充電する場合はカメラの電源を落とす必要がある。出来ればAC駆動しながら充電できるといいのにな~

まだ使い始めて間もないのだが、このカメラに関してはENGカメラを使い慣れたカメラマンでもストレス無くすぐに扱えるようになる点は大きいと思う。特にLCDの位置やRECボタンの位置など意外と重要。特に三脚運用時はLCDの位置ははっきり言ってこの位置しかない。

_1030621実はHM600をお借りした時、テストをさておきLCDフード製作をまず始めた。どのメーカーのLCDも屋外ではどうしても見難いのでフードは必需品である。また三脚にすえての撮影が比較的多いので、ENGカメラのビューファーインダーに仕込まれている様なレンズがあるとLCDの確認には大変力強い。そこでレンズ付きフードを作ることにした。使用した材料はホームセンターで売っている低発泡ポリエチレン板、製本テープ、ベルクロ 粘着剤付きベルクロ プラスチックレンズ(強度老眼用+5)低発泡ポリエチレン板はカッターで簡単にカットできるので、この様な工作にはもってこいである。

またプラスチックレンズは百均で購入したものを使用したので_1030628
とてもリーズナブル。眼鏡をバラして取り出したレンズはそのままでは大きすぎるので、適度なサイズまで削りパーマセルで貼り付け。視度調整が出来る様にした。もっと度がきついレンズであればもう少しコンパクトに収まっただろう。

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後日+8のレンズを求め眼鏡店に行ったところ、1枚4,200円と聞き諦めた^^;

このカメラは35mm換算で約29mmと割合と広角で撮影できる。しかしもっと広角にという現場があるかもしれない。そんな時はワイコンを使うのが一般的だ。

_1030671_2自分の場合手持ちに在ったCANON XH-A1用のCANON製0.8倍ワイコンのフィルター径がちょうど合っていたので着けてみた。実はHM650のフィルター螺子は意外と深く、CANON製のワイコンが問題なく装着できた。

実はこのワイコン、螺子部がちょっと特殊で、Z1JなどのSONY系のカメラにはフィルター径が合っていても螺子が切ってある部分が浅く装着することが出来なかった。

写真でもお分かりいただけると思うが0.8倍だと歪が目立ってしまう所が残念。しかし35mm換算で23.2mmほどの広角は魅力だ。樽型歪があっても被写体によっては気にならない事もあるのでうまく使い分けていきたいと思う。メーカーカタログにはZunow製ワイコンが推奨されているようだ。

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ワイコン未装着                        Canon0.8xワイコン装着

HM600/650はファームを書き換えることでどんどん進化して行くポテンシャルを持っている。最新情報ではNABで新しいファームが発表されるそうなので期待したい。またJVCの公式HPではHM600/650のスペシャルサイトも設営されているので合わせて見て頂きたい。

2012年1月16日 (月)

SDレンズはHDカメラで使えるのか?

今まで放置状態だったBlogなのだが、どうも知らないうちにサービスが中止されていた。

う~む確かメールで引越しの案内とか来ていたような記憶が・・・ 

と言うことでまた一から出直しです。

表題のとおり、普段からSDレンズをHDカメラで使用したらどうなの?という疑問を持っていた。

先日ちょうど放送用SDレンズを手に入れたので比較してみることにした。

どのように比較するのが一番よいのか?と言うことだが、レンズにとって粗が出やすく厳しい状態での比較テストをすることにした。どのような状態がレンズにとって厳しいのか?

これはまさに開放値でハイコントラストな被写体撮影。なぜかと言うと開放に近い状態でハイライトの部分と影の部分が連なってある場合、性能の低いレンズほど黒い部分に色収差の影響が出て紫や緑の偽色が乗ってくる。この現象は焦点距離を長くすると(ズームアップ)確認しやすい。

今回ズームレンズのテレ端性能も踏まえ各レンズのテレ端(ドン寄り)でエクステンダーを使いつつ超厳しいテストを行ってみた。

今回使用する機材は以下のとおり

 *カメラ SONY PMW-350 記録モード SP(25M)

テストレンズ

Ha18_76

  *Fujinon HA18*7.6 放送用HDレンズ

J21_78

  *Canon J21*7.8 放送用SDレンズ シュリンカー付きスイッチャブルレンズ(エクステンダー部分が異様にデカイ)

A18_86_2

  *Fujinon A18*8.6 業務用SDレンズ(たぶんオマケレンズよりは性能良い筈)

これらを用いて以下のテストを行ってみた。

まずこちらの写真をご覧いただきたい。蛍光灯のライトボックスにパーマセルで何本か

ラインを引き、高コントラストな映像を撮影してみた。

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(こんな感じ)

撮影条件

各レンズとも、最望遠、最望遠+EX(エクステンダー) で撮影 Knee、DCCなどはOFF

上記に書いたとおり今回このような状態で撮影した。

基本的にPMW350のファインダーで表示されるヒストグラムを表示しなるべく白が100%になるように調節。今回アイリスを開放値とするためにNDフィルター4(1/64ND)を入れ、ゲインを-3dBにした。アイリス開放状態でフィルターとゲインの組み合わせだけで明るさを100%に合わせる事ができないのでご参考までに・・・

またエクステンダー使用時には当然レンズの明るさは落ちてしまうのでNDフィルターは3(1/16ND)ゲインは0dB

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Still0113_00001

Still0113_00002 黒帯の周りにHA18よりパープルフリンジが多く見受けられる。

Still0113_00004

Still0113_00005 黒帯全体に色収差の影響が出てきていて、コントラストが低下し、本来黒の部分に青く色が乗っている。

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如何だろうか。今回使用したJ21*7.8WRSDは当時250万のENGレンズ。当然業務用SDレンズよりも光学特性に優れ、今でもシャープな絵を見せてくれる。しかし今回のテストは絞りを開放並びにズーム拠りきりと、レンズにとってはいちばん粗が出る条件でのテストと言うことを断っておく。やはりレンズはf5.8からf8辺りがいちばん光学的性能が良い部分なので、NDフィルターを上手く利用し、なるべくこのあたりで運用できるようにしたい。

次に自宅から約200m離れた高圧線の鉄塔を撮影してみた。撮影した日は晴天の午後で、太陽に温められた地面からの大気の影響で、かなりゆらぎがあり、静止画ではどうしても絵の一部がボケたり、曲がったりという結果に・・・ そういう部分は差し引いてください。

撮影条件はDCC OFF オートニーOFF 被写体の白い部分が丁度100%になるようにアイリスを調整 NDとゲインを併用しF6.7近辺で撮影

写真をクリックすると表示が大きくなります。しかし、今回使用したブログの仕様上、アップロードサイズは1Mまで 最大表示は1600ピクセル四方という制限があり実際の画像と比べるとだいぶ落ちた表示になっているのであらかじめご了承ください。

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PMW350付属レンズFujinon XA16*8

このレンズはエクステンダーが付いていないので最高倍率ではこのサイズになります。

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今回は色収差の違いに焦点をおいてHDレンズとSDレンズとの比較を行ってみたのだが、自分の感覚としては放送用SDレンズはHDカメラに使えるのか?と言われれば、「まあ使える」 という感じだ。ただしレンズ性能が厳しくなるテレ端はあまり使わないというのが条件かもしれない。今回のテスト以外にも、もっといろんな被写体を撮影してみないとわからない部分が多いと思う。

今回はこの程度のテストだったのだが、時間があれば他の被写体を撮影してその差を確認したいと思う。

あと今回のテストでの発見。よくマルチカメラでホワイトバランスを取り、1カメ5800 2カメ5500 など同じグレースケールでホワイトバランスを取ってもカメラがファインダー内で表示する色温度にばらつきが出ると言うのはよくある話。この原因の一つとして今回のテストで分かったことは、レンズ毎のコーティングの違いによる色の差。Fujinonの業務用SDレンズは同じFujinon製HDレンズと比較し、結構黄色く映る。なので、このレンズを装着しホワイトバランスを取ると他のレンズより色温度表示が低くなる。レンズを換えるだけで500ケルビン程度はすぐ変わってしまうようだ。

なのでカメラの色温度表示は使用するレンズによってかなりの差が出ると言うことを覚えておくと良いだろう。

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